2025.09.12
  • 開発現場から

ビジネスに本当に必要なこと。「プロ」として成果を出すために

ビジネスに本当に必要なこと。「プロ」として成果を出すために

はじめに

ビジネスの現場で本当に必要なものは何でしょうか。資金? 人脈? 技術? もちろんそれらは重要です。しかし、実際に成果を上げ、長く続けられる仕事を築くためにはもっと根源的な要素が欠かせません。今回は自らの経験を通して「プロとは何か」「学び続けることの意味」「外注や採用の難しさ」を掘り下げ、ビジネスにおける本質を探っていきます。

ビジネスの現場で本当に必要なものは何でしょうか。資金? 人脈? 技術? もちろんそれらは重要です。しかし、実際に成果を上げ、長く続けられる仕事を築くためにはもっと根源的な要素が欠かせません。今回は自らの経験を通して「プロとは何か」「学び続けることの意味」「外注や採用の難しさ」を掘り下げ、ビジネスにおける本質を探っていきます。

苦い経験が原点になる

「いい歳してこんな仕事をして恥ずかしくないの?」

アメリカで紆余曲折を経て30歳を過ぎた頃、私は食品卸の会社に事務職として採用されました。最初に与えられた仕事は前日の配送から戻ってきた顧客のサイン付きの請求書の控えを整理する仕事でした。数百枚もある請求書はバラバラの状態でオフィスに戻ってきますので、これを番号順に並べなおして整理するのに最低3時間は掛かりました。

冒頭の言葉は指サックをつけて、必死に紙と格闘している私に先輩社員が言った言葉でした。これはなかなか堪えました。正直、その頃の私はボロボロでしたね。

この経験が私に「絶対に経営側に回らないとダメだ」と思わせ、会計を学ぶきっかけになったので今ではその先輩社員に感謝しています。漠然と「経営」と言っても良くわからないので、まずは基礎となるアウトラインを押さえよう、と思いました。そして「ビジネスは結局数字だから、会計から入るしかない」という結論に至ったんです。

今では、そのときに現状を克服しようと必死に会計を学んだことが、自分の商売(ウリ)になりました。「弱点を克服するプロセス」こそが自分の武器になったと言えるかもしれません。

プロとは何か?

ある程度の年齢になると「プロの仕事」を求められるのだと思っています。私は「プロとは顧客にとって価値ある成果物を、対価に見合う形で届けられる人」なのだと考えています。そして、そのためには知識・経験・道具を総合的に使いこなせる能力が必要だと思うのです。

若手であれば教育前提で採用されることもあります。しかし、中途採用や業務委託であれば、成果を出すのが前提になります。何らかの手段で必ず求められたアウトプットを出す責任があるのです。だからこそ、自分にできること/できないことを言語化できない人に、プロとしての成果を期待するのは難しいでしょう。

実際、私自身もホームレス経験を経て社会復帰してからは、ひたすら勉強を続けてきました。その動機は常に「自分に何が足りないかを理解するため」です。勉強すればするほど、次に必要なものが見えてきます。そしてそのサイクルは終わることなく続いていく感覚があります。

プロであり続けるとは、つまり「自分を理解する努力をし続けること」なのだと思います。

学び続けることの意味

2019年頃、当社ではシステム開発事業が伸びていったのですが、ギリギリのリソースで回す日々が続いてしまいトラブルも多発しました。当時、私はエンジニアではなかったので「こういう状況でも親会社のエンジニア達に相談すれば、何かしらの解決策を持っているだろう」と思っていました。しかし実際には、大企業である親会社におけるトラブルの質と、小さな組織である我々のトラブルの質が違いすぎるため改善には至りませんでした。

「何かを解決したければ人任せにせず自分で知識をつけて改善するしかない」ということを痛感しました。そこで私は一つの手段としてビジネスアナリシスに注目し、その知識体系を学び、資格を取り、実務で応用していきました。すると徐々に点で学んできたことが線で繋がっていく実感が湧いてきたのです。

何かを本当に身につけるには時間がかかります。だからこそ働きながら学び、資格を取り、実務に落とし込む。この地道なサイクルを繰り返すしかありません。その取り組みの中で私は「標準を知る」ということを重視しています。プロの世界には必ず “お作法” があります。それを理解し、実践していくことがゴール到達に向けて一番の近道だと感じているからです。まさに「守破離の守」と言えるのでは?と思っています。

外注と採用の難しさ

ビジネスの現場でよくあるのが「こんなニーズがある!」と気づいた後のプロセスです。

  1. ニーズを発見する
  2. 必要なスキルをリサーチする
  3. そのスキルを持つ人に外注する
  4. 失敗する
  5. 社内で育成を試みる
  6. 失敗する
  7. 自分で学んで習得する(→事業化)

結局、ほとんどのケースでこのルートをたどることになります。なぜなら、発注側に知識がなければ、外注してもその成果物を見極められず、大体の場合は無駄になってしまうからです。育成にしても同じで、結局そのスキルの意味と価値を理解している人しか習得できません。

採用においても同様で「できます!」と言う人は多いものの、実際に成果物が期待に届かないことは少なくありません。資格や学位は努力の証明にはなりますが、技能の証明にはならないのです。その現実を踏まえると「自分で学んで理解し、実践して実績を上げるしかない」という結論に至ります。

自分でやるとスケールしないかもしれません。しかし、理解を持たずに外注や採用を繰り返すよりは、まず自分で理解し、最低限の基準を設けることが先決ではないか?と数多くの失敗からそう思っています。

プロの条件とは「誠実さ」でもある

最後に強調したいのは、プロの条件とは「成果物を出す」だけではなく「誠実であること」だという点です。私自身、少し背伸びをして受注したことはあっても、「絶対に出来ないこと」を受注した挙句に逃げたことはありません。なぜなら信頼こそがビジネスの基盤だからです。

誠実さとは自分の限界を知り、それを正直に伝えることでもあります。そして限界を広げるために学び続ける。その姿勢が結果的に顧客にとっての価値につながり、リピートや信頼関係を生んでいきます。

おわりに

ビジネスに本当に必要なこととは、資金や人脈だけではありません。プロとして成果を出し続ける姿勢、学び続ける意志、そして誠実さです。外注や採用も大事ですが、まず自分自身が理解していなければ何も始まりません。弱点を克服する過程がそのまま強みになり、ビジネスの武器になります。

もしあなたが今「成果を出すとは何か」「自分に足りないものは何か」と悩んでいるなら、まずはその問いと真摯に向き合うことから始めてみてください。そこにこそビジネスを成功に導くヒントが隠されています。

本記事が少しでも皆さまの気づきになれば幸いです。さらに深い学びや情報収集をしたい方は、ぜひ『Stateside BizTech』のメルマガを登録ください。

 

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中島恒久
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COO
中島 恒久
2004年に永住権に当選しアメリカへ移住。日本時代のインターネットプロバイダーでのサポート業務経験を活かしシステム開発会社を起業。その後、表情心理学系スタートアップの立ち上げへ参加。食品卸企業にてオペレーション部門、倉庫・物流部門の責任者を務めた後、2015年にFUJISOFT AMERICA設立に参加。2017年より現職COO。MBA、ITIL4 Foundation、ECBAを取得。法人営業、管理会計、ビジネスアナリシス、プロセス改善を得意領域としている。
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